活学社
 


将来世代留学生フォーラムの歩み

1993年9月〜

 

将来世代留学生フォーラム

将来世代機会開発フォーラム

 

「将来世代留学生フォーラム」は、「私たちはまるで現在世代が最後の世代であるかのごとく、資源を消費し、未来を搾取する生き方をしてしまってはいないだろうか」という問題意識から、将来世代への配慮と責任について感性豊かな「将来世代のための次世代(地球リーダーシップ)」育成をめざし、1993年9月15日(敬老の日)に発足した次の時代を担う若者のためのフォーラムである。

 将来世代の夢と希望に応えるべく、将来世代への新しい地平を切り拓く21世紀の人材育成を目的とし、国境を超えて集う、アジアを中心とした留学生、大学院生数十名とともに、将来世代の観点から、歴史的、文化的に意義深い日本の各地を訪ね、机上の学問を超えた新しいタイプのフォーラムである。

 「将来世代とともに」という観点から、世界と現在と自己を俯瞰し、世界のあり方から、経済、社会、教育、そして、個人の価値観やライフスタイルまでを問い直し、自己の拡大、再構築を通じて、「将来世代にとっての私」の意味に気づき、「将来世代という大きな夢」と出会い、そして、行動していくための定期的なフォーラムである。

 

第1回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1993年9月14日(火)〜16日(木)

会 場:高野山・清浄心院(和歌山)

テーマ:「いまなぜ将来世代なのか〜私を超える叡知を密教に学ぶ〜

講 師:上田紀行、長尾恵證、金 泰昌、矢崎勝彦

死をも覚悟し、遣唐船で東シナ海を渡り、世界文化の最先端をゆく中国・長安にて、密教を修得(相伝)した青年留学僧・空海(弘法大師)は、真言密教の聖地を高野山に開いた。人間中心主義に替わる価値観が求められる今、自然との共生、宇宙との融合を主張する自然中心の密教の思想に未来を開く一つの鍵を求めた。

 

第2回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1993年10月16日(土)〜18日(月)

会 場:伊勢・星出館(三重)

テーマ:「将来世代としての私〜私を超える叡知を式年遷宮に学ぶ〜

講 師:茂木和行、鎌田東二、所 功、横澤和也、金 泰昌、矢崎勝彦

朽ちるべき運命の木を使い、原始的な工法で造られる伊勢神宮の神殿は「式年遷宮」という日本民族の心と技、それを永遠に伝えていく祭によって20年ごとに蘇り、1300年の歳月を経て、今なお端正な姿を伝える。200 〜300年後の遷宮のために計画的な檜の植林を行いながら、魂を「常若」に、世代間継承し、元のあるべき姿を子々孫々にまで伝えていこうとする式年遷宮の思想を学ぶため、61回目の遷宮が行われた10月、伊勢を訪れる。

 

第3回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1993年11月6日(土)〜8日(月)

会 場:出雲・すたに旅館(島根)

テーマ:「将来世代としての私〜私を超える叡知を森羅万象との縁結びの思想に学ぶ〜

講 師:濱野恵一、ジョン・クレイグ、金泰昌、矢崎勝彦

壮大な日本の記紀神話の舞台となった神々の聖地・出雲。日本中が神無月の旧暦10月、神有月となる出雲に日本全国の八百万の神々が終結し、一年分の神事を合議するという。神話のふるさとであり、縁結びの出雲において、宇宙・地球の誕生から自らの生命の神話を繙き、森羅万象との縁を再び結び直し、新しい自己観という新しい神話を創るために訪れる。

 

第4回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1993年12月18日(土)〜20日(月)

会 場:二風谷・民宿チセ(北海道)

テーマ:「将来世代としての私〜私を超える叡知をアイヌ民族の万物共生の思想に学ぶ〜

講 師:津村喬、萱野志朗、竹内渉、野本久栄、杉村京子、長井博、金泰昌、矢崎勝彦

私たちが近代を追い求めた結果、喪失してしまった万物共生のコスモロジー。国際先住民年(1993年)、すべての「もの」には「いのち」があり、カムイ(Kamui?)が宿り、すべての「こと」には見えざるカムイの意志が働くとする日本の先住民族であるアイヌ(Ainu)民族を訪ね、ウレシパモシリ(自然の万物がお互いに育みあう世界)への知恵を学ぶ。

 

第5回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年1月22日(土)〜24日(月)

会 場:吉田山・新千早(京都)

テーマ:「将来世代のための夢を語る〜新・後世への最大遺物〜

講 師:平井英明、林勝彦、所功、小林正弥、金泰昌、矢崎勝彦

1994年、京都は平安京(794- )建都から、1200年という記念すべき年を迎えた。建都1100年の1894年、内村鑑三(1861-1930 )は、「後世への最大遺物」なる講演を行い、「我々は何をこの世に遺して逝こうか。金か。事業か。思想か。・・・ 何人にも遺し得る最大遺物−それは高尚なる人生である」と、熱く観衆に語りかけた。100年後の若い世代が京の吉田山に集い、1300年を生きる世代へ、将来世代への夢を熱く語る。

 

第6回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年2月9日(水)〜11日(金)

会 場:土佐・旅館桂仙(高知)

テーマ:「現在世代の失われた志を坂本龍馬に学ぶ

講 師:高野澄、桑原恭子、金泰昌、矢崎勝彦

今なお、限りない夢を人々に与え、愛され続ける幕末維新の革命児・坂本龍馬(1835-1867 )。自藩にこだわることなく、薩長連合、大政奉還と近代日本の幕開けを演出した龍馬は、統一国家のビジョンをもちながら、維新の前夜に散った33年の生涯に今を生きる私たちが失いかけた志を求めて、龍馬の生きた土佐を訪れる。

 

第7回将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年3月15日(火)〜17日(木)

会 場:萩・旅館一二三(山口)

テーマ:「現在世代の失われた純粋な魂と情熱を吉田松陰に学ぶ

講 師:山中鉄三、小林彌六、金泰昌、矢崎勝彦

開国か攘夷か−−揺らぐ幕藩体制の矛盾を俯視し、純粋な魂と情熱を喪失することなく、壮大なる日本国家のビジョンを構築し、「松下村塾」での教育により、明治維新の原動力となった志士を輩出させた変革者である、思想家・吉田松陰(1830-1859 )。僅か30歳にして非命の死を遂げた松陰に私たちが失いかけたものを求め、故郷・萩跡を訪れる。

 

第8回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年4月15日(金)〜17日(日)

会 場:熊野・旧大阪屋(和歌山)

テーマ:「現在世代の失われた自然観を南方熊楠に学ぶ

講 師:樫山茂樹、月川和雄、南方文枝、久原脩司、池田千尋、武内善信、矢崎勝彦

生涯を無位無官で通し、懸命に宇宙の摂理、森羅万象の真理、有機性・多様性の世界を追求し続けた在野の大学者であった南方熊楠(1867-1941 )。彼を生んだ熊野は日本古来より、黄泉の国として、また修験道、山岳信仰の地として、仰がれた聖地であった。多様な生命を育む熊野の深い自然の中で、粘菌の研究を通じ、宇宙をとらえようとした熊楠の生き方に現代世代が喪失した自然観を学ぶ。

 

第9回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年5月29日(日)〜31日(火)

会 場:花巻・大沢温泉山水閣(岩手)

テーマ:「現在世代の失われた宇宙観を宮澤賢治に学ぶ

講 師:大塚常樹、田口昭典、宮沢雄造、鳥山敏子、長坂俊雄、金泰昌、矢崎勝彦

「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」と37歳という短い生涯を無名のままに、己の理想とする世界を求めて、激しく燃え続けた詩人であり、童話作家である宮沢賢治(1896-1933 )。近代的な価値観のゆらぐ今、人間と動植物や鉱物が一体となって、心通わせることのできる、真の幸せな世界はないかと、生涯をかけて探し出そうとした賢治の透明な宇宙観を求めて、故郷・花巻を訪れる。

 

第10回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年6月13日(月)〜15日(水)

会 場:屋久島・送陽邸(鹿児島)

テーマ:「かけがえのないいのち〜母なるガイアのいのちの循環(めぐり)と出会う〜

講 師:星川淳、大牟田一美、金泰昌、矢崎勝彦

地球上の貴重な文化遺産と生態系を人類共通の財産として保護する世界遺産条約。その自然遺産部門に登録された屋久島を訪れ、水の循環に母なるガイア・地球の生命のめぐりを体感し、緑息づき水流れる生きた自然に根ざした新しい文明のあり方を探る。

 

第11回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年7月19日(火)〜21日(木)

会 場:富士山・丸太小屋(山梨)

テーマ:「かけがえのないいのち〜将来世代の環境としての現在世代からいのちを育む〜

講 師:田中愛子、宮迫千鶴、金泰昌、矢崎勝彦

山に、木に、神を感じ、自然を崇拝してきた日本人は古来より、信仰の対象として、富士を霊峰として、畏敬の念をもって接してきた。富士という大きな懐に包まれ、自然に生かされている私を感じながら、かけがえのない生命を思い、そして、将来世代の環境としての私に気づく。

 

第12回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年8月18日(木)〜20日(土)

会 場:長崎・坂本屋旅館(長崎)

テーマ:「かけがえのないいのち〜人間中心主義を超えて〜

講 師:広瀬方人、金泰昌、矢崎勝彦

1945年8月9日の被爆から50年を目前に控えた長崎と石炭採掘に一時5000人が住み、掘り尽くすと同時に、廃墟となり、今は潮風に吹かれ、朽ち果てようとしている人工の島・軍艦島(端島)という、人間中心主義の結末ともいえる風景から、将来世代のための、新しい生命文化のあり方を考える。

 

第13回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年9月25日(日)〜27日(火)

会 場:飯綱高原・アルカディア(長野)

テーマ:「原点回帰としての将来世代〜私にとっての将来世代、将来世代にとっての私〜

講 師:宮下富実夫、ビワスタジオ

古来、聖地は標高1000m〜1500mの地にあることが多く、また長寿国も多いという。植物のマイナスイオンに包まれ、母の胎内にも例えられる自然のゆらぎに満ち、また地球上で生命が本当に生かされる標高1200mに位置する癒しの地・飯綱高原において、陰陽五行、インド哲学等を学び、シンセサイザーを使ったミュージック・セラピーの研究を進める宮下富実夫氏を訪ね、母なる地球への原点回帰の道を探る。

 

第14回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1994年10月8日(土)〜10日(月)

会 場:天河・弥仙館(奈良)、高野山・清浄心院(和歌山)

テーマ:「夢の象徴としての将来世代〜将来世代とともに〜

講 師:柿坂神酒之祐、木内鶴彦、横澤和也、金泰昌、矢崎勝彦

地球のツボともいわれ、宇宙の気が満ち溢れる現代の聖地・天河と再び高野山を訪れ、全てを包み込む超全体としての「将来世代」というキーワードから、「将来世代にとっての私」を深く見つめ直し、それぞれの人生に託された将来世代という夢のために、それぞれの夢を持ち寄り、将来世代のための新しい歴史の創造に向けて、語りあう。

 

第15回 将来世代留学生フォーラム(特別プログラム)

日 時:1994年11月24日(木)〜26日(土)

会 場:国立京都国際会館(京都)

テーマ:「将来世代のための新しい歴史の創造〜建都千二百年の古都から新しい千年期へ

第16回 将来世代留学生フォーラム(特別プログラム)

日 時:1995年8月3日(木)〜4日(金)

会 場:国立京都国際会館(京都)

テーマ:「将来世代への我々の良心と行動

 

第17回 将来世代留学生フォーラム

日 時:1995年8月24日(木)〜25日(金)

会 場:大原・養福寺会館(京都)

テーマ:「将来世代と私−夢をかたちにするために−

講 師:アンニャ・ライト、林勝彦、金泰昌、矢崎勝彦

静かに、しかし大いなる存在感をもってたたずむ京都・八瀬の緑の山々に包まれながら、「将来世代とは、自己とは何か」を再び自身に問いかける。自分たちのいのちは長い歴史の中でどのように育まれてきたのか、そして、これからどこへ行こうとするのか。未来を切り拓く若者の純粋な想いを語り合う。

 

第18回将来世代留学生フォーラム

日 時:1995年11月30日(木)〜12月4日(月)

会 場:九州 鹿児島・水俣・柳川・長崎

テーマ:「日本近代化の歴史に学ぶ、今、将来世代観点から生きる意味を問う

講 師:外園 徹(元特攻隊委員)・島津公保・田村省三・林勝彦・広松伝・下平作恵

・日本の近代化から学ぶとして、幕末、欧米と対等に交流するために優れた科学技術を積極的に取り入れ、産業の開発・造船事業を起こした薩摩藩主・島津斉彬のご子孫である島津公保氏に話を聞く。さらに、島津家の史料が集まる尚古集成館を訪れる。

太平洋戦争末期、多くの若い命を奪った特攻隊体験を生き残った隊員から話を聞く。

風光明媚な水俣湾で起こった日本の経済成長の負の歴史「水俣病」を、当事者の方々からお話をきき体感した。

幼い頃から親しんできた伝統的な柳川の掘割を良心の力で復活させた広松伝さんに体験談を聞く。

長崎で原爆の被曝体験をもつ下平作恵さんにその体験談をきく。戦争は加害者が被害者になるとの重い言葉に皆は改めて戦争を考えた。

 

 

第19回将来世代留学生フォーラム

日 時:1999年7月18日(日)〜20日()

会 場:飛騨・信州

テーマ:「生・老・病・死を世代継承的視点から考える

講 師:佐藤良二氏「さくら」(映画の主人公)、

    森 要氏(夢飛騨一国三川ふれあい連邦共和国大統領補佐官)

    神山征二郎監督(映画「さくら」)

    唐沢彦三(小布施町町長)

    塩沢みどり(「水輪」代表)

 名もないバスの運転手をしていた市民、佐藤良二氏は、太平洋と日本海を桜の道にする夢を実現するために二千本もの桜の苗木を、雨の日も風の日もいのちをかけて植え続けた。彼のエピソードは後に本、映画となって、かなわなかった彼の夢は残された人々に受け継がれている。彼の映画を作成した神山監督から映画作りのエピソードを聞いた。

 その地に世々代々伝わる文化を現代に活かしながら、人々が訪れたくなる街作りをしている地を訪れる。一過性のものではなく、時代を超えて、場を超えて、訪れる人々に良さが伝わる、住民の力を生かした、もう一度訪れたいと思わせる街作りがすすんでいた。

 「水輪」では、身体的障害をもって生まれたさおりちゃんをかこんで、訪れた留学生達はともに歌を歌い、魂の対話を体験した。  

 

第20回将来世代留学生フォーラム

日 時:2000年7月22日(土)〜25日(火)

会 場:豊島(香川)

テーマ:「公共化に生きる

講 師:中坊公平、石井亨(豊島住民代表)

 瀬戸内海の東部、古来から稲作が盛んで豊かなことから「豊島」と名付けられたこの島に、悪質な事業者と県の擁護により有害産業廃棄物が25年にわたって不法に投棄され、野焼きが行われた。豊島住民は、国の公害調停を申請し、体をはった抵抗で、ついには香川県による産業廃棄物の撤去と、知事が豊島住民に対する謝罪という形で調停は終結する。ここまでの道のりは決して簡単ではなく、非力な住民の体をはった県との闘い、来る日も来る日も立ちつづけた熱意が生み出したものであった。さらに、調停は終結したものの、長年積もった産廃は気の遠くなる程の量である。住民達の生の声をきき、圧倒される量の産廃の現状を見学し、日本の負の遺産を目の当たりにしながら、この25年間の間に傷つけられた豊島をいかに復興させていくかという大きな課題についても訪れた留学生達と語り合った。

 
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